man01-1


伊勢宮忠への入社を決断させたのは、

幼いころから言われ続けていた祖父の言葉でした。

 

伊勢宮忠の長男として生まれたものの、大学卒業前まではここで働こうとは思っていませんでした。
生まれ育った伊勢の当時の印象は「田舎でぱっとしないまち」。
都会にすみたい!という思いが強く、高校卒業後は愛知県の大学に入学をし、
大学時代はラップ・ミュージックに没頭。環境も勢いも良く音楽の道に進もうかとも思っていました。

 

ところが、そんなとき頭によぎったのが、幼い頃から祖父の忠治(宮忠の先代)に言われ続けていた
「お前は長男やからなぁ、家持やでなぁ。」という言葉です。
音楽の道への未練がなかったといえば嘘になりますが、
祖父の言葉に突き動かされ家に戻って家業を継ぐと決断。
そうと決まれば早い方が良いと、卒業式を待たずして伊勢に帰ってきました。

 

伊勢宮忠に入社して9年、今は工場長の役割を担わせてもらっています。
その仕事は多岐に渡り、

工場全体を管理し職人が働きやすい環境づくりをすること

お客様の要望を職人に伝え制作の指示を出すこと

工場から出す製品の品質管理

現場の下見や納入設置、メディア対応なども行っています。

 

 

伊勢宮忠でいろんな経験を積んでいます。

 

一番印象に残っているのは、初めて自分一人で木取りから組み立てまで行い一つの製品を作ったときのことです。
忘れもしない「八足案」という神具でした。
幼い頃から物作りが大好きで、当時のわくわく感そのままにひたすら作業に没頭していました。

たいへんだったという意味で印象に残っている出来事もあります。
それは、お社と鳥居、玉垣、灯篭を据える現場仕事でした。鳥居を建てるために地面に穴を掘り始めたのですが、地面が固くて夕方になっても鳥居が建ちません。
しかも、夏の暑い時期、炎天下での仕事。
伊勢宮忠の職人は私も含めて皆坊主頭なので、日焼けで頭の皮がめくれるほどでした。二日間で全員真っ黒、最後には心配して来てくれた専務の采配で何とか無事に納めることができました。帰りの車の中では放心状態だったことを今でも覚えています。

 

 

伊勢宮忠への信頼を裏切らないこと、

それが私の使命です。

 

伊勢宮忠のお客様は、私たちを信頼して商品をご購入くださっています。
そして、私の使命はその信頼に応え続けることであり、
日ごろから、一般の方では気づかない部分や職人でさえ見落とす細かい部分にまで気を配っています。
職人泣かせですが、これが職人の成長につながり、未来永却伊勢宮忠の品質を保つことになると信じています。

 

また、神棚や神具を手作りすることは毎日が神様とのふれあいで、日々黙々と木と向き合い、陶器と向き合い、神具と向き合いながら感じることは、信仰の中で生かされている喜びや有り難さです。この思いを若い職人にも引き継いでいきたいです。

 

 

先代から自分へ、そして次の代へ。
「伝統技術」と「感謝の心」を継承していきます。

 

伊勢宮忠は、代々神棚造りを営んでいます。
先人の努力はもちろんのこと、それぞれの代でお世話になった方々や伊勢宮忠をここまで育ててくださったお客様、多くの皆様にお力添えをいただき今の私たちがあります。
伝統を引き継ぐということは、技術の継承だけでなく、人と人とのつながりやいただいた御恩、そして、感謝の心を継承することだと考えています。

 

そういうわけで、私は地元伊勢に対しても大きな御恩を感じています。
伊勢に戻ってすぐに地元の青年団に入り夏祭りの運営のお手伝いに参加し、式年遷宮のお木曳きに向け「木遣り(きやり)」も始めました。地域とのつながりが深くなるにつれ、どんどんどんどん伊勢が好きになっていきました。伊勢に来られるお客様から伊勢の良さを教えてもらうこともたくさんありました。

なんとなくはじめた「木遣り」も10年がたち、今では木遣り部長をまかされています。今年、式年遷宮を迎え一区切りがつきましたが、次の遷宮に向けて「木遣り」も継承していかなくてはなりません。
伊勢のお役に立つよう、今後も地域の取り組みに参加していきたいと思っています。

 

もうひとつ、地元に恩返しができるのでは・・・という思いで取得した資格があります。
それは「神職の資格」です。大学で行われる講習に通い、「直階(ちょっかい)」という基礎的な階位の資格を神社本廳からいただきました。
現在は、別の神社で月に一度の月次祭を奉仕させていただいています。私の住む岡本町の神社は、現在町の役員さんが宮司をしているのですが、その後を継ぐ方がいません。いつか、そのときがきたら私がお手伝いさせていただくことがあるかもしれません。

 

最後になりましたが、私の夢はずっと伊勢宮忠を継承していくことです。

そのためにも、私自身が仕事や伊勢のことをもっともっと学び、よく知って、関わる人全てを笑顔にできる人間になりたいと思っています。これが代々続いていけばみんなが幸せになれる、そう思うのです。

 

sen
man01-2

川西洋介

昭和56年5月28日生まれ
平成16年2月 伊勢宮忠に入社
●趣味:宴会、打ち上げをして皆で笑うこと
●好きな言葉:好きを嫌いに・嫌いを好きに
●影響を受けた偉人:山本五十六