- 第六章
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伝統の継承
第三節時代に合わせて変わる人の育て方と、
変わらない心
宮忠の職人の仕事は、木の加工や組立をする人(宮師)、屋根を葺く人(茅葺師)、彫刻をする人(彫師)に分かれています。一人前になるまでの期間は、人によってさまざまですが、およそ3~10年ほどです。
昔の職人の世界は「見て覚える」世界でしたが、時代が変わった今は、教え方も変わりました。先輩が説明して、できるようになればまた次を教えます。どれくらいできるようになったか、先輩がちゃんと見ています。
ただ、木は一つひとつ違う生き物です。カンナで削るにしても、木の「目」を読んで削る向きを決めたのに、実際やるとその向きでは引っかかってしいまい、うまくいかないこともあります。
そういう世界ですから、経験の浅い職人に言うのは、「何でも聞け」ということ。それも、「どうしたらいいですか?」ではなく、多少なりとも自分で考えて、「こう思っているけどどうですか?」と聞かなければ、成長にはつながりません。
「失敗してもいい」とも言っています。ただこの場合も、次の糧にしなければ意味がありません。同じ失敗を二度としないためにも、なぜ失敗したのか、本当はどうすべきだったのかを、ちゃんと振り返っておくことが大切です。
また、それらの前に大切にしてほしいのは、「あたりまえのことを、あたりまえにできる」ことです。挨拶やお礼をちゃんと言うこと。上のモノを下に置かないこと。ただのモノではなく、お客様の祀る気持ちと神様の橋渡しをする神棚を造らせていただくのですから。不思議なことに、あたりまえのことができるようになると、道具や製品の扱い方も変わり、仕事の腕も上がるものです。
宮忠は、これからも「技術」と「心」を継承し、宮造りを続けていきます。
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