第一章

宮忠創業

第一節ゼロから継承した宮造り事業

昭和20年、国民神殿斎作所(こくみんしんでんさいさくしょ)を始めた立川氏は、戦前~戦中、日本国陸軍向けの神棚造りを手がけ、外地(中国・朝鮮半島・南方)や内地へ送り出していました。敗戦間近との声が高まると、立川氏は宮造りをやめる意志を強くしていきます。
一方、現社長・川西治正の祖父にあたる西口孫一の一家は、伊賀から大阪へ出て営んでいた家業の食品問屋を失い、終戦後、伊勢に疎開しました。
そんな中、伊勢で出会ったある人物が仲人的な役割を果たし、信心深い孫一の一家に、「これから日本の復興が始まる。人々の心を支える宮造りをやってみたらどうか」と声をかけました。まったく経験のない孫一でしたが、国民神殿斎作所を買い受けることを決意し、たった1人残った職人の下、一から学びながら始めることとなったのです。

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