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小さい時から、もの造りが好きでした。

考えて造る、喜んでいただけるものを造るというロマン。

 

 

小さい頃に、いとこのお兄さんから譲り受けた衣装ケース一杯のレゴブロックに夢中になり、
何かを造る事が好きになりました。

中学、高校時代には、車が好きで車のプラモデル、ラジコンに夢中になり、プラモデルでは、
より実車に近づけるにはどうしたらいいか、またラジコンではどうすれば速くなるかなどを考え・組み立てするのが楽しく、それらを友達に見せた時に驚く様子が嬉しくて。

小さな頃からずっと何かを造り続けてきたので、就職するなら物を造る仕事、考えて物を造る仕事、
伊勢で生まれ育ったので、伊勢に関わった仕事をしたいと思いこの仕事に着きました。

 

私は、第一製作部というところで、主に別注品を製作しています。

大きなお社から、小さなお社、神具までなんでも製作します。

「カタログに載っていないけど、こんな形のお社を造って欲しい」など、お客様のご要望にお応え出来るように造っています。

 

施主様の「この子はよくやってくれたよ、頑張ってやってくれたよ」が嬉しくて

 

仕事をはじめて3、4年くらい経った時、お客様の家の押し入れに御霊舎を組み込む仕事を、
初めて一人で任される事になりました。

技術も、経験も未熟で不安要素だらけのなか現場へ向かいました。
施主様は、年輩の方で椅子に座って私の仕事をずっと無言で見ていました。
とても緊張して手が震えながら仕事をしたのを今でも覚えています。
自分に上手く綺麗に出来るかわからないけれど、とにかく一生懸命やろうと。

自分に任された仕事だからやるしかないと思い必死で仕事をしました。

 

仕事の終わりに、施主様と、社長と私と最終の確認をしていた時に施主様が社長に、
「この子はよくやってくれたよ、頑張ってやってくれたよ」と言って下さいました。
仕上りはまだまだ駄目だったと思いますが、その一言がとても嬉しく思い、
また仕事に対して喜びを感じたのと同時に、お客様の期待に応えられるような仕事が出来る様に、
ならなければいけないとも思いました。

 

初めての仕事や大きな仕事など、自分に出来るのかといった不安や、
プレッシャーが辛いと言うか大変ですが、それを乗り越えて物が完成し、
お客様に喜んでいただけると何とも言えない達成感へと変わります。

 

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綺麗な仕上がりへのこだわり、音へのこだわり。
天からの恵みである材料へのこだわり。

 

こだわりにはいろいろありますが、特に全体の仕上りが綺麗に美しくなるように、
基本的な事ですが刃物をよく切らす事を意識します。

そうすると、つかなければいけない所が綺麗に付き、隙間が無くなりお社全体が
引き締まって綺麗に見えます。

また、お社の顔とも言えるお扉ですが、開閉時の「ギィー」という音を鳴らす事。
お扉のホゾ部分で調整するのですが、あまり鳴らせ過ぎると扉の開閉が硬くなり、
扉が割れてしまいます。柔らかくすると音が鳴りません。

祭事の時のお扉の音は、低目で絶え間無く鳴るのが自分なりにいいと思うので、
音にこだわって造ったりしています。

 

先輩から学んだ事はたくさんありますが、仕事の事で言うと木の使い方です。

天然の材木を使っているので、挽き割ったりすると色々な物が出てきます。

シミだったり、節だったり、ヤニだったりそれをなるべく出さないように木の見方、
また出てしまった時の木の使い方。

出てしまったから使わないのではなく、その木をどう使えば活かす事が出来るのか。
無駄にしなくてよいのか。という事も学ばさせてもらいました。

 

日本にしかない仕事。伊勢になくてはならない仕事。
伝統をしっかり伝える仕事。高みを目指してまいります。

 

後輩には、物を造る楽しさを伝えたいと思います。
図面と、頭の中にあるイメージが自分で部品を造り組み立てていくと、目の前で実物が出来上がっていきます。

自分の思い描いた通りに完成すると、とても楽しいですし悩んで苦労したほど達成感があります。

また、お客様に喜んでいただけると尚一層嬉しく思います。仕事ですから大変ですが、
その中でも楽しさを感じて仕事をしてもらえたらと思います。

 

お宮造りの仕事は、日本にしか無い仕事ですし、伊勢になくてはならない仕事だと思います。
お社の組み方、鉋の調子や、木を削るのに説明書やマニュアルもありません。
自分の指先の感覚や力加減など体で覚えるしかありません。

しっかり先輩から引き継いで、後輩へと繋いで行く。
伝統をしっかり引き継ぎ、若い世代の色も加えていくことも大切な仕事だと思いますので、
しっかりやっていきたいと思います。

このような仕事には上は無いと思いますので常に前進、腕を磨いて技術を高めていきたいと思います。

 

 

「また伊勢へ行きたいなぁ」と思っていただけるような宮造り

 

私は伊勢で生まれ育ちずっと住んでいますが、みじかなところに海・山・川があり、そして伊勢神宮があります。

とても良い所です。もし、家に私達が造らせていただいたお社、神棚をお祀りしていただくと、
伊勢神宮の雰囲気や伊勢の事を思い出していただけるような、

「また伊勢へ行きたいなぁ」と思っていただけるような宮造りをしていきたいと思います。

 

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金子英郎

昭和53年6月4日生まれ
平成9年3月 伊勢宮忠に入社
趣味:ルアーフィッシング